職種×価値観調査

慶應大学商学部牛島ゼミにて、各職種に就く社会人がどのような価値観で仕事を行っているか調査したレポートです。【学生みなさまへ】価値観カテゴリーが1記事に対して複数つけられることが分かったので、複数カテゴリ付けを奥居の方で修正しています!新規登録時は、先輩の価値観を全部カテゴリ付けしてください

いっちー①(医療・福祉/総務部会計課/3年目)

☆5/20(水)インタビュー実施。

 

1先輩の仕事

■会社のお客は誰?そのお客はどんな悩み・ニーズがある? 

 公益法人であるため、お客様は大きく分けて①寄付して下さる方々と②被災者や患者など、事業サービスを受ける方々の2種類。

①寄付金で成り立っている会社であるため、とても大切なお客様である。ニーズとしては「苦しんでいる人を助けたい」があり、自分一人では達成できないひとの架け橋として、会社は存在している。

事業の1つとしてある医療サービスの提供では、栄えていない地域に病院を多く設立しているため、顧客からのニーズには「地域の拠点となるトップクラスの医療の提供」がある。

 

■会社は顧客に対してどんなサービス/商品をどうやって提供している?

 そのサービス提供の中で先輩はどんな役割を担っている?

  ①国内災害救護・②国際活動、③入院患者への医療サービス提供(病院)、④献血協力者の募集・血液の提供⑤青少年教育活動⑥各都道府県での講習会等、事業の理念に賛同するボランティアの人々による被災地等への⑦支援活動⑧社会福祉⑨看護師等の教育がある。

 競合他社と言えるのは、同じ寄付金を主な収入源とし医療・支援活動を行う法人。他の会社に比べて強みとして「国際拠点が大きく組織ネットワークが強いため、早急な対応ができること」と「他社以上に日本国内に重点を置いている点、まず国内に目を向けている」、そして「多くのボランティアの方々の協力がある」ところを挙げて頂いた。

 

 経理には、職員の給与の支払いといった仕事や、予算業務・決算報告などがある。特に予算業務・決算報告は重要で、予算業務はどの事業にどれだけお金を使うのかを、事業の実現性など様々な面から判断をする役割であり、決算報告ではどれほど寄付金があり、どのように使われたかを正確に、しっかりと公表しなければならないという重要な役割である。

 また、インタビューさせて頂いた方は本部の会計課のため、47ある支部の受け付けた義援金を一度本部にまとめ、被災地へ送るため義援金送金の役割も担っていた。

 

2.この仕事で満たされる価値観

■先輩の価値観

 困っている人を放っておけない

[承認系]気心の知れたメンバーに理解される/優しさや誠実さなど人柄を評価される

[成長系]視野を広げる/挑戦・冒険する

[協業系]チームで頑張る/良きサポート・アシスト役になる

[提供価値系]目の前の人を支援する/手や体を動かす/伝統を守る

[安心系]家族や日々の暮らしを大切にする

 

■仕事をしていて「この価値観が満たされているな」と感じる時

 被災地の人が家具などを受け取ったときのVTR、義援金のおかげで生活を取り戻しつつあるといった手紙等、お金を送った先の人々の表情を見ることができると、自分の業務が役に立ったという達成感があり、会社の理念である「苦しんでいる人を救いたい」に通じる「困っている人を放っておけない」価値観が満たされていると感じる。また、同じ職場で働く人々が同じ価値観を持っており、一緒に仕事をすること・話をすることも嬉しいという。

 

■あなたの価値観を先輩に見せ「この価値観にこの仕事は向いているかどうか」

のアドバイスをもらってください

 私の価値観を1つずつ見て、「お金より理念で入る人が多いため、”頑張っただけ稼ぐ”が向いていないかな。一人でこつこつやるという部分も、他者のことをしっかり考えながら行う仕事が中心なので、あまり向いていないかもしれない。営業などは向いているかも。”サポートとか誠実さを評価される”は向いているかも。寄付者の思いにどれだけ最大限答えられるか、思いが何なのか、それについて考えることが大事なのでその面では向いているかも」とアドバイスを頂きました。

 

3.この仕事に必要な能力

■この仕事に必要な能力

  自分の頭で考え決断し行動する力/課題を見つけ解決策を練る力/素直に人の話や情報を吸収する力/人の話や悩みを聞き出す力/相手の気持ちを考え共感する力/困っている人を助ける面倒見力

 

■なぜその力が必要?

  相手の気持ちを考え共感する力:悩み事を話してくれる人には頷き共感すること、そして寄付して下さる方々の求めていること・用途をまず考え、行動する力が必要となる。ただし、悩み事などは話を聞くだけでなく目で見て判断することも重要

 また、その他に必要な能力として「社会の情勢、地震予測、応急処置を身につけてやりきる力」を挙げて頂いた。現地ではどうしても焦ってしまうかもしれないが、落ち着いて行動できるよう知識が必要となる。

 

■大学生活で身についたもので、仕事で活きている力はある?またそれはなぜ身についた?

 チームでやる仕事をこなす上で「ゼミの三田論文」が一番力になったと感じている。

分担があり、かつ周りと合わせて議論する中で1つの結論を導き出す作業がためになった。会議での発言などでも、自分の意見を相手に理解して貰う力は重要。若手でも上司を説得する力が必要になってくる。論理立てて説明できるようにすることが大切だと感じ、この力を上げて頂いた。

 

★感想

 調査シート以外にも就活のことや会社のこれから直面する悩みについても教えて頂きました。普段使っている施設・サービスに携わる仕事について知らないことがたくさんあることや、知っている組織でも事業が私の想像以上に多岐に渡ることを学びました。

 公益法人についてこの早い時期に詳しくお話を聞けたことは、利益についてまず考えながら働くことが仕事の基本であると考えていた私の就職・仕事への考え・選択肢を大きく変え、広げて頂きました。また、今回の調査で、自分の価値観にあった仕事を選ぶこと=自分と同じ価値観の仲間と働けることであるとも感じ、価値観・仕事の研究の重要性を痛感しました。

 

★取材者

商学部3年いっちー